既に知っているかたも多いだろうが、真・女神転生Ⅳ FINALのDLCでスティーブンが登場する。しかも過去作の主人公達(ザ・ヒーロー、アレフ、人修羅)と一同に会して……。
スティーブンはゲーム中の登場時のセリフなどで、少なくとも超人的な力を持っているような人物に思っていなかったのだが、今回は戦うらしいw これまでの作品でも登場するシーンは少なく、設定が語られたことはなかったので、実のところどんな人物かは謎のままだ。
スティーブンについて分かっていることだけを列挙してみた
・物質転送装置ターミナルの実験中にターミナルが偶然魔界に繋がってしまう事故を起こす。その時のデータを利用して悪魔召喚プログラムをつくり、ネット上で配布する。
・白髪ではあるが、年数が経過しても老化したようには見えない。
・車椅子を使って移動
・モデルになっているのが、スティーブホーキング博士。
・1994年宝島社刊行【真・女神転生Ⅱ悪魔大辞典】から制作スタッフのインタビューより一部抜粋
成沢大輔 インタビュー
岡田耕始 真・女神転生Ⅱのディレクター
伊藤龍太郎 真・女神転生Ⅱのシナリオ担当
スティーブンの正体は……
成沢:さて、核心の方の話にいきます。質問くるんですよ、いっぱい。スティーブンの正体に関する推測が。うちにハガキ出してくる連中なんてヘヴィユーザーばっかりですから、自分なりの意見がしっかりあるみたいなんですけどね。
伊藤:どんなのが多いんですか?
成沢:神様とも思えるし、悪魔とも思えるというどちらかの両極端が多いですね。
伊藤:それって答えなきゃまずいのかな?
成沢:いえいえ、それは今答えない方がいいでしょう。お楽しみは取っとくことにしましょう。
岡田:でも、あくまで今回での存在に限定すれば、LAWをテーマにしたと言いましたが、サタンとルシファーがいるのに対して、純粋にニュートラルの立場の人物であるとは言えますね。
成沢:だから前作の“吉祥寺の老人”、あれに近づいたのかなって感じましたね。
岡田:読んでるねー(笑)。
伊藤:前作やったあとでスティーブンの存在と、老人たちの存在がちょっと分散しちゃったかなっていう反省が個人的にはあったんですけどね。
成沢:あの老人っていうのはタオの導師なんですよね。タオ自体がもとよりバランスを表しますから。
伊藤:だから、ニュートラルの象徴になるわけですよ、スティーブンも。理論物理学者で有名なホーキング博士は、神を真っ向から科学的に否定している。その点から彼の学説が始まっていますよね。何であの人が欧米でセンセーショナルな話題になったかっていうと、宇宙っていうのは神が作ったんじゃないよ、コレコレこういう物理的な原理からできているよ、っていうことを系統立てて学説として打ち出したからなんです。自分の著書の中でも宇宙は神に作られたものじゃないってことを主張したんで話題になったんだけれど、それを和訳されたものを僕ら日本人が読んでも、そんなの当たり前じゃんって思うわけです。一神教徒でない日本人ですから、その辺を面白いなと思ったんですよ。その思想を『真・女神転生』内で視覚的に表現するためにスティーブンを登場させたわけです。
成沢:なるほどね。
伊藤:で、一応、『真・女神転生』のストーリーの流れとしては、神や悪魔一方だけのストーリーではなく、そのどちらでもないところに行かなきゃいけないんだよ、っていうのが基本コンセプトとしてあるわけで、その導師になってくれるのがスティーブンにほかならないわけです。
成沢:いやあ、いい答えだなあ。すごくよく分かるし、読者はますます混乱して面白い(爆笑)。
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記事を書いてる途中で思い出してきたのだが、ネット上に悪魔召喚プログラムをばらまいたのは、地上に進出してくる悪魔に対抗できる人間を増やそうとしたのではなかったのだろうか? 当然不特定多数の人間に協力を求める位だからスティーブン自体の戦闘力?は低いだろうし、主人公達に感謝する事はあっても戦う理由はないはずだ。よほど強引な事をしない限り、戦う理由付けをするためのストーリーを展開するには難しいだろう。
アトラスからしてみたら過去作のキャラを出演させ長年のファンを釣れるようなDLCを出して、少しでも稼ぎたいところなんだろうけれど、それならせめて設定やキャラクターを守るのが、ファンに対してのマナーなのではないだろうか?